4日目

raisin2006-09-17

ヴコヴィナ地方の修道院めぐり。
朝9時に出発、17時ごろ帰宿。
ドライバーは宿のおじさん。*1

まず腹ごしらえ

朝ご飯。
・オムレツ(チーズ、塩漬け?の豚肉、ソーセージの入った卵焼き。いずれもごろっと大きく角切り。うまい!)
・パン
・コーヒー


メニューを見たときはこれっぽっち?と思って、パンも付けてもらったのだけど、パンいらないくらいお腹いっぱいになった。明日の朝もこれが食べたいけど、早朝の列車なので今日のみなのだ。残念。

修道院巡り

  1. フモール修道院
  2. ヴォロネツ修道院
  3. モルドヴィツァ修道院
  4. スチェヴィツァ修道院
  5. プトナ修道院
  6. ボグダン修道院
  7. ドラゴミルネイ修道院

「5つの修道院」からアルボーレを外して、ドラゴミルネイが加わっている。ボグダンは通り道だからついで。
とはいえこのコースはリクエストしたのではなくて、いつもこう通っているということらしい。


ところで本日は日曜日。そう、敬虔なキリスト教徒は教会に集う日である。午前中はいずこも信者でぎっしりで、一目で異教徒とわかる(推測される)身としてはちょっと居心地が悪かった。日々の信仰の邪魔をしたいわけじゃあないのですよ。
この日の朝は寒かった! 今回もっとも北にある街で、しかも山の上。この寒さのせいで、まだたっぷり残っているはずのデジカメ電池が残量不足マークを点滅させている。あわてて液晶を切って使う。新しいカメラなので馴れないうえに、ファインダーから見える画面と撮影される画面が微妙に異なる、ピントがどこに合っているか、採光計測はどうなっているのか、不明なまま写真を撮る。じつは寒さのせいで電池残量不足と表示されるだけで、暖めれば回復するのだということは後から知った。*2


フモール修道院
入場料 4Lei/カメラ持ち込み 6Lei
こぢんまりとした女子修道院
ミサの歌声が美しく響く。まだまだ朝の冷えた空気に観光客もまばらなので、異国情緒たっぷり。


 


ヴォロネツ修道院
入場料 4Lei/カメラ持ち込み 6Lei
西面に描かれた「最後の審判」が有名とのこと。ここも女子修道院。でも説教をしているのは男性なのだ。
駐車場が整備されていて、広い。駐車場の周りの土産物屋の数が一番多かったと思う。


  


モルドヴィツァ修道院
入場料 4Lei
カメラ代を負けてくれた!(二人分と言ったら、一人でいいと)
大きな所は太っ腹だ。人が多く来るから困窮はしていないということか。売っている絵はがきも今のところ、規模に比例して安くなっている。
大きくて古い女子修道院。チケットに誇らしげにりんごの絵が載っているように、金のりんご賞とやらを受賞したらしく、併設の博物館にまさに金色をしたりんごがモチーフのトロフィーが飾ってあるのだが、肝心のその賞が何の賞なのだかは不明。
前の2修道院と比べるとチケットにも色がつき、イラストが描かれ、大きく、なにかしら余裕を感じさせる。観光客もここにきて一気に増えた。
教会堂横にある修道女たちの生活している家も見る。花が咲き乱れていて可愛らしい。
ここまでの3修道院ではいずれもミサ*3が執り行われていて、そこをずかずかと礼拝堂内部に入っていくのは気が引けた。それを見て取ったか、アンドレイさんが私たちを招じ入れ、背中をぐいぐいと前へ前へと押し出す。いやあの、端っこで見ているだけで充分です。そもそも人が多くて、壁の絵もろくに見えないし。
でもミサ曲の歌声はうっとりするほど美しいし、生活に根ざした生きた宗教という印象がある。ルーマニア人は日本人が驚くほどに信仰熱心だ。
ミサを終えた偉い人(ひげ面の男性)が、白地に青い刺繍の入った典礼服(?)でさっそうと歩くのを見た。その後ろを歩く修道女は真っ黒なので、その対比も美しい。
ここの博物館には金のりんごだけでなく、エカチェリーナ2世が送ったという装飾聖書なども展示してあって見応えあり。


   


次の修道院との間で展望場所として有名な峠を通る。どうだ!と見せてくれたが、ここでなきゃ見られないというわけでもない。といいつつ、パノラマを撮ってみた。


スチェヴィツァ修道院
入場料 4Lei/カメラ持ち込み 6Lei
とても大きな修道院
礼拝が終わる時間帯になり、一般信徒の姿がまばらになる。ゆっくりと中も見られる。
昼時なので、信者と修道士が一緒に昼食をとるようだ。敷地内に積み上げてあるキャベツを女性たちが笑いながら次々と切っている光景も見られる。信者か、修道院の手伝いとかなのか。男子修道院では、女性がこまごまとした用事をこなしているのをよく見かけた。表では売店にいたり、裏では拭き掃除をしていたり。信者の奉仕活動なのか。でもそうした労働もこなしてこその修道生活なのでは?
ここも博物館が附属。英語での詳しい説明はない。運がよければ英語ガイドが他人にしゃべっている解説が横から聞ける。


   



ここを出てから、なぜかモルドヴィツァ修道院で買ったというパンをおじさんがくれる。ぎっしりと焼き込んであって、素朴なパン。素朴ながらも小麦の美味しさがある。てっぺんに修道院の紋章らしきものが焼き印で押してある。握りこぶし程度の大きさなのに、非常に腹持ちがいいパンだった。
さて、ここでいったん土産物屋さんへといざなわれる。それほど高くない。友人は小鉢を5客(も!)購入。
ここから次までの道には、とにかく可愛らしい民家が並ぶ。本当に田舎で、山の上で、辺鄙な場所なので、行き交う車も少ない。表を歩いている住民もあまり見ない。地域の文化がよく守られている場所だと思う。おそらく夜は真っ暗、街灯などない。看板もないし、欧米資本主義的なものはぜんぜん見当たらない。ちょっとした小売店も滅多に見かけないほどだ。
そんなザ・田舎に建つ家は、古いものも新築も、どれも残らずおとぎ話に出てくるような可愛らしい家ばかりだ。木造家屋で、薄いブルーやグリーン、淡いピンクやイエローに塗った壁。白くふちどられた窓。飾り彫りや、羽目板の組み合わせによって趣向が凝らされた外観。村を見渡すかぎりそんな家ばかり。どの家の庭にも窓にも花が飾られている。
車をびゅんびゅん飛ばしていた中から見ていたので、残念ながら写真には撮っていないけれど、これは日本のお嬢さんたちには非常に受けると思った。
そう、車をとにかく飛ばす。直線になると、腰を浮かせてアクセルを踏み込むのだ。そこまでしないといけない硬いアクセルなのか。癖なのか。とにかく一心不乱にアクセルを踏むのだ。でもまあそのせっかち運転をもってしてもゆうに8時間はかかり、しかも昼食をとっていないのだ。モルドヴィツァ修道院のぎっしりパンのみ。


プトナ修道院
入場料 4Lei/カメラ持ち込み 6Lei/美術館 4Lei
新しく綺麗な修道院。いや創建は15世紀とのことだから、新しくはないのか? しかし建築物はどれも歪みなくしっかりしていてきれい。
ここは男子修道院。外壁はまっさらでなにも描かれていない。内部のイコンが見所のひとつ。ちなみに内部はいずこも撮影禁止。
ここはきれいな駐車場と、きれいなトイレ(要チップ)がある。ショップでは二人連れの修道女が熱心にクロスを選んでいた。小さい所からやってきたのかな。


  


ボグダン修道院
入場無料
ラダウチの街中にある古い修道院。敷地は広いが観光客はあまり訪れないようで、他にはだれもいなかった。僧坊は大きいのに、観光客も信者もいないせいか、とても静かだった。
ボグダンとはマラムレシュ地方からここモルドヴァ地方に移ってきて、モルドヴァ公国を建国した大公の名前。敷地内にその胸像が建っている。
このモルドヴァ地方でもっとも古い石造教会で、14世紀創建。メモをとったつもりが見当たらないので、それ以上の情報は忘れてしまった。この地域に見られる東壁が湾曲していて、木造の屋根は東西ともカーブしている形だが、造形はあまり複雑ではない。いかにもこの地域の修道院の初期のものといった泥臭さが感じられる。



ドラゴミルネイ修道院
入場料 4Lei
日も大分傾いてきたころ、スチャバをいったん通り過ぎで到着。ここも女子修道院
観光客もいないので博物館も閉まっていたのだが、おじさんが修道女さんに開けてくれるよう頼んでくれた。
日本だと参道とも言うべき長い道の脇では、羊や牛が放牧されていて、夕方なので修道女がそれを追っている。入り口には宿泊可能という意味のベッドマークが示されている。本当に信仰生活を実践している場なのだなあと思わされる。
博物館の解説で分からない単語があったので電子辞書でひいていたら、修道女が興味津々で覗き込んでいた。目が合ったらにっこりと微笑んで、「クリスチャンなの?」との質問。「いえ...違うんです」「じゃあ仏教徒?」「ええまあ」。熱心に見ていたからだろうか。
友人はここでついに念願の手書きのイコンを入手する。他の修道院にはないいいものが揃っているらしい。
Anastasia Crimcaという女性が創建の祖。博物館にはこの修道女が自ら作ったという巨大な?燭がある。?燭ってこんなにももつものなのね。創建年代はまたもメモをとらず。


  





修道院入場券
上左:フモール修道院 上右:ヴォロネツ修道院
中央:モルドヴィツァ修道院
下左:スチェヴィツァ修道院 下中:プトナ修道院(カメラ) 下右:ドラゴミルネイ修道院

スチャバ市内の教会

ゲオルゲ・ノウ修道院
入場料はいらないが、日曜の夕方に行くと、これまたミサにぶつかる。
屋根の模様が特徴的で可愛らしい。ルーマニアの装飾は、美しいというよりも可愛らしさを感じさせるものが多い。


信仰

それにしてもルーマニア人は熱心に祈る。一心不乱に祈る。観光ガイドもドライバーも、教会の前を通る時は十字を切るし、教会堂・礼拝堂に入る時ももちろん頭を下げて十字を切る。熱心に祈ったりもする。
床に伏して祈っている人も大勢みかけた。教会堂に足を踏み入れたルーマニア人は、地元民ではない観光客もふくめてみな、?燭を供え、イコンに口づけ、祈る。*4

ごはん

夕方宿に戻ってから宿の人たちが食べていた家庭料理がそれはそれは美味しそうだった! それも私ならばゆうに2食分はあろうかという量が皿に載っている。いい匂いが漂っていた。基本はじゃがいもと肉とピクルス類のようだ。


ということで晩ごはんだ。今晩こそ「サルマーレ!」「ないのよ〜」。
「じゃあチョルバは昨日と違うものを...」「同じものしかないのよ〜」。
ルーマニアではいかに立派な装丁がなされ詳細な説明があったとしても、そのメニューを信用してはいけない。
・チョルバ 6Lei
・ショプスカ(シーザーサラダのような、チーズが上にのったサラダ。苦手)
・チキングリル(まあ焼いただけのチキン。柔らかくてジューシーで美味しかった)

支出
入場料 4×6=20Lei
カメラ持ち込み料 6×4=24Lei
絵はがき 0.5×2+0.7×2=2.4Lei
宿での食費 50Lei
食料:りんご、水、ジュース 4.7Lei


修道院ツアー 50EUR
2泊宿泊代 35EUR(一部屋35EURを二人で折半)

*1:ちなみにアンドレイさんという。

*2:しかし寒いとはいえまだまだ秋の気候。これでは日本の冬すら乗り切れない。これでいいのか、キャノン。

*3:ミサとは言わないのかもしれない。が、正確な用語を知らないので、便宜上ミサと言っておく。

*4:遠来の人がすべて「観光」客なのかどうかはもちろん分かりませんが。