6日目

raisin2006-09-19


チケット紛失

ブルガリア国内へと無事に入り、最初の停車駅へと向かう。
陸路での入国にはトラブルが多いと聞いていたので、友人に帰りの飛行機のチケットを出せるよう準備しておいてと言う。ところが探せど出て来ない。そうこうするうち、最初の駅に着き、陽気な若い入国審査管がやってきて入国審査はさっさと終了。パスポートを手にもって、列車が動き出しても、友人は寝台の上に荷物をぶちまけたままだ。
すでに日付は変わり、到着予定は朝の6時。すぐにでも眠りたい時間だが、私たちのコンパートメントでは混乱が深まるばかり。
結局、どうやら紛失したらしいことは明らかだった。紛失なのか盗難なのか、いつどこでなのか、それは一切不明。ただ飛行機のチケットが無い。
とりあえず、ソフィアに着いてからまずはエール・フランスに問い合わせ、最悪の場合は帰国便を探してチケットを買い直すということにして就寝。友人には悪いけれど、疲労困憊していたし、出入国で英語を話したり*1して、頭がぜんぜん働かない状態だったのだ。横になってすぐに熟睡してしまった。友人はそれどころではない一夜だったと思うのだが。
ソフィアについても、上等な(自分比)寝台で休んだのに、なんだか寝足りない気分。
ところでブルガリアに入れば駅もさぞかし近代化して、一目瞭然のレベルアップがあるのではないかと期待していたのだが、国境側の駅は見たところ光量が多いだけで変化はあまり感じられなかった。ソフィア駅の素っ気なさも以外だった。状況と朝の寒さが、そう思わせたのかもしれないが。


結局駅にあるEuroTourのインフォメーションで、親切にもエール・フランスのオフィスの場所を電話で確認してもらって、行き方まで親切に教えてもらって、エール・フランスのオフィスに辿り着く。ところでここで話を切り出すとこう言われたのだ。
「問題はありません。あなたが紛失したのはチケットではありません。あれはチケットのコピーです。もういちどコピーを渡すので、搭乗時にはこれを持って直接カウンターに行けばオーケーです」
そうか! 今回、あと2フライトあるのに、なんで1枚しかないのだろうと思っていたのだ。eチケット云々と言われて、「なんだかわからないけど、航空券にもeを付けるが流行なのねー」などと惚けたことを考えていた。つまり、昨年までなら完全にチケット紛失だけど、今回はチケットは電子情報として存在しているので、友人がなくしたのはあくまでその明細書なのだ。オフィスではパスポートを確認しただけで、すぐに「コピー」を再発行してくれた。あまりに簡単なので、ひょっとしたらオフィスまで来ずに、電話連絡だけとか、当日「なくしちゃった」と言ってパスポートさえ提示できれば、それでも何とかなったのだろうか。とはいえ、これをカウンターに持っていって登場手続きをしたりするし、なくてもいいものではないと思うのだが......航空券のことは正直、よく分からないや。年に1回の旅行程度じゃねえ。


さて、この時点で11時ころ。リラへ向かう予定は変更、先にプロヴディフへ行くことにする。
オフィスを出て最初に目についた銀行で両替をする。友人がここでも日本円が両替できるか訊くが、できないとの返答。まあ仕方ないかと両替していると、窓口の無愛想な女性が誰かに聞いてくれたらしく、両替できるかもしれない銀行を教えてくれる。場所を説明しようとするが、上手くいかない。二人がかりで地図を描こうとするのだが、自分の位置と目的地との位置関係が分からないまま描き出したようなへなへなな地図。こちらの人は地図が苦手とはよく聞くが、本当だったのか。やがて3人ほどになって、ものすごく時間をかけて教えてくれる。無愛想なんて思ってしまったが、とても親切だった。「分かった、ありがとう」と言って出ようとしているところへ、英語が上手な人を捜して連れてきて、さらに「May I help you?」ときた。くどいくらいに説明をしてくれました。ブルガリア人、親切!
ここで午前中の遅れを取り戻すために、早くバスターミナル、ツェントラル・アフトガーラに行かなければ。鉄道駅の横にあるので、戻ることになる。ここで一息ついた友人が、ついでだから日本円を両替できる銀行を確認しに行きたい、それでついでに両替もしたい、と言い出す。私としてはともかく今日の目的地に着いてしまいたかったし、次のバスが何時かも分からなかったので、次にソフィアに戻ってきたときにしようと説得してバスターミナルへ向かった。しかし、実はソフィアでの両替のチャンスは、このこの19日しかなかったのだ。ごめん、友人。

プロヴディフへ

急いで駅に向かい、建物の中央に掲げられている予定表を見る。どうやら30分ごとにあるらしい。思ったよりも多い。12時発のに乗りたいが、チケットをどこで購入するのか分からない。建物の中には数十のバス会社のブースがずらりと並んでいて、目当てのバスの運行会社が分からないと買えない。と、その掲示板の下にタッチパネルがあって、そこで検索ができるのを発見。内容はネットと同じ(http://tis.centralnaavtogara.bg/guide/welcome.jsp)。そこで会社を調べて、ブースに行くが誰もいない。じりじり待うちに12時を過ぎてしまう。次の12時半も同じ会社。やがて担当者が戻ってきたが、後ろを指差しあっちだと言う。首を傾げながら後ろのブースに行くとさらに後ろをさす。後ろとはつまり、外で、バスで直接買えということだった。なんだ、立派なカウンターがあるから、ここで買うのかと思ったよ。分かっていれば12時のバスに飛び乗れたのだろうか、仕方がない。
バスの下に荷物を入れ、飲み物を仕入れる(バスステーションには売店や軽食の店がいくつかあるので便利)。乗車時間は約2時間。鉄道は街の外側を走るが、バスは街中を走ることもあるので、色々な街並が見られるかと期待したが、出発地が首都なら目的地はブルガリア第2の商業都市。立派な高速道路があって、ほとんどそこを走っていた。風景はあいかわらず田園風景ばかり。


14時半すぎにプロヴディフに到着。鉄道駅そば、バスターミナルのアフトガーラ・ユクの外側で降りる。ここから街の中心部まで行かなければならない。『歩き方』にはインフォメーションのことが書いていないので、まずは鉄道駅に行ってみる。
さっそく声をかけてきたおばあさん。1泊朝食付きを17Lvでいい、と言う。安い。だが場所を訊いても、「ノープロブレム。アイムティーチャー」を連呼するだけ。「じゃあ部屋を見せてくれ」というのは通じるので見にいく。ところが場所は鉄道駅を挟んで南側。駅まで歩いて10分だ、と言い張るのだが、旧市街を観光したいし時間もない私たちには不向き。
今度は街の中央に出て、高くてもいいやとホテル・ブルガリアにあたる。ここでは1泊しか空いていないと言われる。『歩き方』にある旅行会社も全然見当たらない(そもそも1昨年に編集したと思われるので、情報がどれも古い)。本に載ってなくても、ミニホテルでも旅行会社でもなんでもいいからないかなあと探すものの、そういう時には決まって見当たらないもの。とりあえず友人を置いて探しすことにして、最初に目についたホテルに入る。最上階のアパートメントしか空いていないという。1泊66ユーロもするが、もう探すのも嫌なのでそこに即決。部屋にはダリが飾ってあって、高級感を演出しようとして失敗したような感じが安っぽくていい。広いバルコニーが付いていて、これが私的にはポイント高し。
結局部屋に落ち着いたのが午後4時ごろ。顔を洗って、朝からのせわしない一日にやっと一息つく。お昼もきちんと食べていなかった。


 


夕方に1カ所くらいは観光を済ませておきたいと思っていたので、古い民家が残る東の丘を目指す。だが『歩き方』程度の地図ではさっぱりわからず、目的地周辺に出るまでに時間がかかる。さらに、『歩き方』に掲載されているハウス・ミュージアムの場所と実際の場所がどうしてもうまく合わず、本に載っていない家もたくさんあるように思えて、とにかく地図と現在地を合致させようと歩き回る。私はきちんとした地図さえあれば間違わず歩けるのだが、そもそも地図にない道を歩いているため、位置関係が皆目分からなかったのだ。売店で市街地図を購入してやっと、本来通りたかった聖処女教会横を通って丘へのぼる道は、ジュマヤ・ジャーミヤの裏から行けばいいということが判明する。とにかく丘は着くにも歩くにも帰るにもひどく時間がかかる場所で、見所もガイドブック以上にたくさんあるらしい、と勘違いをして終わる。実際はそんなに時間が必要な場所ではなく、この誤算が翌日の行動に影響を与える。



現在位置を確認するだけで5時を過ぎてしまったので、入場時間に制限のないネベ・テベの遺跡で市街を一望し、イマレット・ジャーミヤへ行くが閉まっていた。
ちなみにネベ・テベの遺跡は市街が見渡せて、歩き疲れた身を心地よく休ませることができる。もう日が暮れかけていた時間のためか、旅行者、子供たち、カップルなどがぽつぽつといるていどでゆっくりしてしまった。ここでシベリアンハスキーを連れた家族連れがやってきていて、各国での人気を再確認。


ごはん

夕食はこの旅で初めて、きちんとレストランに入る。宿の近くにあるCyucyura。安いし、なかなか美味しい。
ここでやっと、ロールキャベツにありつけた。ブルガリアのそれは「サルミ」という。一口大に小さく巻いたものに、これでもかとサワークリームがたっぷりとかかっている。サワークリームの臭いはルーマニアと同じ。私にはサワークリームをよけて食べた方がおいしかった。

ホテル

Art Hotel Dali
スイート1泊60EUR。立地良し。
ダリをテーマとしたホテル。部屋数は各階3部屋前後で、20室以下のこぢんまりしたホテル。フロントは英語に問題なし。スイートなどでなければ、30EURほどで泊まれたはず。*2
朝食付きで、数種類のパン、数種類のジャム(瓶ごと置いてある)、フルーツ、ヨーグルト、チーズ、シリアル、ジュース、コーヒーとたっぷりある。
ただ、随所にチープ感があふれていて、私たちはそれが面白かったけれど、値段相応の部屋かどうかは考えどころ。たとえば、ベッド脇に立てかけてあるダリの絵の裏には不思議な穴が開いている(それを隠すためなら絵を固定すればいいのに)、リニューアル前の配線とおぼしきコードが壁に突き出ている、シャワーカーテンのレールの一方の釘が浮いているためレールが斜め(それがシュールレアリスムだとでも言うつもり?)、スイートはドアからさらに階段を登るのだが、階段の電気をつけると階段にしかけられた豆電球がぴかぴかと光り出し、安っぽさ満点。さらに、トイレは外に向かってガラス張りです。カーテンはあるけど。
フロントは20代〜30代でとてもフレンドリーだし、聞いたことはすぐ調べて教えてくれるのだが、所謂サービス業としてのレベルはそんなに高いわけではない。


  

シャワー室を覗ける窓。

この左側がシャワー。シャワーヘッドとヘッドをかけておくところの大きさが合っていないので、ひっかけてあるだけ。右側は単なる飾り。その右奥は段があって無駄に広々している。

支出
両替 110EUR


トイレチップ 0.4Lv
切符:トラム(1回券2回) 14Lv
切符:バス(ソフィア→プロヴディフ) 20Lv
タクシー:プロヴディフ市内 1.67Lv
パン 0.5Lv
ジュース 1.2Lv
絵はがき2枚 2.4Lv
市街地図 3Lv
地図*3 11.1Lv

*1:その実、飛行機での入出国よりも単語数は少ないくらい、あっけないものだったけど。

*2:持って帰ってきたパンフレットが見当たらないので、出てきたら追記します。

*3:各国語版の世界地図を集めているので、ブルガリア語版を購入。これがなかなか見つけられず苦労した。新学期にあわせて売っている小学生用のもの。ちなみに書店には多くの親が教科書などを買いにきていた。